ハノーバーメッセ2024で新提案247点

5月 19, 2024

イグス展示内容レポート

イグス(ドイツ本社)は、2024年4月22日から26日まで5日間にわたってドイツで開催されたハノーバーメッセ2024に出展いたしました。イグスブースでは、247種類におよぶ新しい製品・提案の一部を展示するとともに、リサイクルプラスチック製自転車『igus:bike』や画像認識アプリ『igusGO』などを体験いただきました。展示内容を抜粋して以下にご紹介いたします。
※ 以下の展示内容および新製品について、日本での発売およびサービス提供開始時期は現時点で未定です。

目次

1. イグス2024年のテーマ “Go Zero Lubrication“
2. 無潤滑化を促進する新素材
3. サステナブルな移動手段・廃プラスチック製自転車
4. 効率的な無潤滑化を支えるデジタル技術
5. クリーンルーム向け製品の拡充
6. 低コストで導入できる移動ロボット
7. ドライテック製品に最長4年の保証期間を新設

1. イグス2024年のテーマ “Go Zero Lubrication“
約4000の企業が出展した本展示会で、イグスは”Go Zero Lubrication“(GO!潤滑剤ゼロ)をメインテーマに、経済合理性や環境負荷の軽減効果を示しながら、新製品を含む潤滑剤不要のプラスチック製品をご紹介しました。当社は、60年にわたるモーションプラスチック(可動部向け樹脂部品)の専門知識と、数十万件の製品テストデータを活用し、世界中で費やされている潤滑油コスト(年間約2,400億ドル)およびそのメンテナンスコスト(少なくとも年間約2,000億ドル)、そして潤滑不足による機械のダウンタイムで発生するロス(年間約7,500億ドル)の削減に寄与できると考えています。
2024年イグスは、”Go Zero Lubrication“をテーマに、お客様のコスト削減に貢献可能、かつ環境負荷が低い無潤滑製品の開発に投資を続け、迅速にお客様に提供してまいります。

2. 無潤滑化を促進する新素材
イグスは、潤滑剤の油脂だけでなく、他の化学物質も土壌や環境を汚染しないよう、高機能ポリマー素材を開発しています。以下は、今回のハノーバーメッセで発表された、新しい無潤滑製品の一部です。

●土壌を汚染しない、高負荷・ヘビーデューティー向けベアリング

従来製品からさらに費用対効果が高い『イグリデュールQ2LW』、均質な層構造で内径・外径ともに加工が容易な『イグテックスTXH』などの高荷重・ヘビーデューティー向けベアリング製品を展示。建設機械、クレーン、農業機械向けの高負荷ベアリングの製品ラインアップを拡充しています。

●PTFEフリーのイグリデュール材質

PTFE(※1)フリーのイグリデュール製品を数多く展示。そのうちのひとつ『イグリデュールJPF』は、PTFEを使用せずに実績のあるイグリデュールJと同等のスペックを実現しています。その他、静電気対策が必要な用途に適した『イグリデュールFPF』、FDA(※2)の基準に準拠し優れた摺動性と耐摩耗性をもつパウダー状のコーティング素材『イグリデュール IC-05PF』などを発表し、実際の製品を展示しました。

※1 PTFE:ポリテトラフルオロエチレン(テフロン®は商品名)。フッ素樹脂のひとつ。環境負荷が高い物質を含有するとしてEUをはじめとして日本でも規制が進んでいる。
※2 FDA:アメリカ食品医薬品局。アメリカで食品や医薬品などの製品を取り扱う場合、FDA認証を取得する必要がある。

●WPC製旋回リングベアリング『イグリデュールPRT』

イグリデュールPRTは、木材と高性能プラスチックを50%ずつ含んだWPC(※)を使用しており、強度と耐久性をもちながらも費用対効果が高く、CO2排出量を抑えられる無潤滑の旋回リングベアリングです。

※ WPC:木粉とプラスチックで構成される複合材料。

3. サステナブルな移動手段・廃プラスチック製自転車
”Go Zero Lubrication“(GO!潤滑剤ゼロ)を象徴する存在として、4年の開発期間を経て今年生産体制に入ったリサイクルプラスチック製自転車『igus:bike』およびプラスチック製自転車部品を展示しました。

●初号機を生産中。サステナブルなプラスチック製自転車『igus:bike』

一般顧客向けに、オランダの開発パートナー・MTRL社と構想から4年をかけて開発したigus:bikeを展示し、ご来場のお客様にVRを使用した試乗を体験いただきました。igus:bikeは92%がプラスチック(そのうち50%がリサイクルプラスチック)で構成される自転車です。現在イグスでは顧客の手に渡る最初のigus:bike100台の生産を開始しています。今後は、リサイクル素材の比率を75%に、そして長期的には100%にできるよう、研究開発を続けます。イグスとMTRL社は、サステナブルな移動手段としてのigus:bikeの提供を通して、プラスチックの廃棄を循環に転換させる社会へ寄与してまいります。

4. 効率的な無潤滑化を支えるデジタル技術
イグスはお客様にとってより手軽な無潤滑化を実現させるため、人工知能(AI)やVR、デジタルツインの技術を用いたツールの開発にも投資を続けています。イグスがもつ製品テストデータと数百万件の事例を活用して、AIが「潤滑剤ゼロ」に向けたソリューションを提案するアプリ『igusGO』に統合しました。
以下は、今回のハノーバーメッセで発表されたデジタルツールのアップデートです。

●画像認識アプリ『igusGO』

igusGOは、既存の機械やアプリケーションの画像を撮影するだけで、AIが無潤滑化のためのイグス製品を提案し、コスト削減の可能性を示すアプリです。アプリからそのままショップにアクセスして、詳細情報の確認や注文、問い合わせをすることができます。昨年秋のリリース以来、世界中のお客様に活用いただいていますが、今回、igusGOに新しくAIチャット機能と、節約可能な潤滑剤の計算機能を追加しました。画像認識でアプリケーションが見つけられない場合もAIに質問することで回答を得ることができます。計算機能では、削減できる潤滑剤とメンテナンスコストを参照することが可能です。
アプリの日本語対応版は2024年5月末にリリース予定で、6月に開催されるMTech東京ではブースでigusGO体験コーナーを設けます。

●メタバース上でイグスとつながり時間とコストを節約『iguverse』

バーチャル空間でイグスの製品エキスパートと製品を開発したり、プレゼンテーションや修理のサポートを受けたりすることを想定したVRコンテンツ・iguverseをご来場のお客様に体験いただきました。イグスは、iguverseをアイデアの迅速な製品化や企業との効果的な協業、お客様へのサービスに役立てていく考えです。

●状態監視データをオールインワンで管理可能『superwise iComm box』

予知保全を目的としたイグスの状態監視システムi.Senseが検知したデータを、データ管理システムsuperwiseにシームレスに伝送する通信モジュール『superwise iComm box』を発表しました。iComm boxが、superwiseへの高速で信頼性の高いデータ伝送を可能にします。superwiseは、ユーザーフレンドリーなダッシュボードでリアルタイムのデータを監視・制御できるだけでなく、シャットダウンが発生した場合にイグスに通知が行き部品を迅速に案内できる、すべての測定値レポートを後々の診断時の評価に利用できる、などの利点をもつシステムです。運転プロセスの最適化とダウンタイムの最小化によって大きな価値を提供します。

5. クリーンルーム向け製品の拡充
AI開発やEV車製造が進歩すると同時に、それに不可欠な半導体の市場回復が見込まれます。イグスのクリーンルーム向けエナジーチェーンシステム製品には、数多くのアップデートがありました。

エナジーチェーンE6シリーズからさらにクリーンルーム向けに耐摩耗性や静音性を高めた『C6』シリーズ、e-skin softの静電バージョン『e-skin soft ESD』、高速スカラロボット用のケーブルソリューション・サイズSKS20よりも大型のサイズとして『スカラケーブルソリューション・サイズSKS24』など、これまでご好評いただいている製品をベースに、さらに性能を向上させた製品、需要に応えてラインナップを拡充させた製品が追加されました。

6. 低コストで導入できる移動ロボット
Low Cost Automation(以下、LCA)事業では、移動ロボット市場のさらなる拡大を見据え、4年に渡るテストを経て手頃な価格で導入できる自動搬送システムを発表しました。中小企業向けに費用対効果の高い移動ロボットの提供を目指します。

●低価格で提供するモバイルReBeL『ReBeL on Wheels』

正味重量8.2kgと、同クラスで比較しても軽量な協働機能付きロボットReBeLを搭載した2種の移動ロボットを発表しました。オープンソースソフトウェアをベースとし、グリッパーを装備した『ReBeL EduMove』(写真中央)は、大学などの教育機関向けの自律学習プラットフォームとして適しています。モジュール設計となっており、カメラ技術やSLAM(※)アルゴリズムなど、他の機能を追加することが可能です。
もう1種、中小企業向けに最大30kgまで搬送できるAGV(写真右)を展示しました。自社開発の3Dセンサー技術を使用しており、オプションのReBeLを搭載すれば、単純な位置決め作業を行うことができます。
低コストAGV・AMRの提供により、教育、物流、サービス分野をはじめとした生活のさまざまな場面での自動化に寄与してまいります。

※ SLAM:自己位置推定と環境地図作成を同時に実行する技術

7. ドライテック製品に最長4年の保証期間を新設
エンジニアリングプラスチック部品の分野における製品保証は革新的であり、イグスが行う膨大な件数のテストにより製品寿命が計算可能だからこそお届けできるサービスです。

●ドライテック製品の最長4年保証をドイツ本国において適用開始
これまでイグスは、チェーンフレックス(可動ケーブル)につき製品保証期間を最長3年から4年に延長するなどのサービス拡充を進めてまいりましたが、本展示会では、ベアリングやリニアガイド、3Dプリント部品を含むドライテック製品に関しても最長4年の保証期間を提供することを発表しました。オンラインツールで用途や素材を選択して算出される耐用年数(最長4年)の保証を受けることができます。イグスは、4年保証製品の幅を広げることによりお客様に安心と安全をお届けすると同時に、長寿命な製品を供給することによりサステナビリティに貢献してまいります。

上記の内容を含む247の新提案製品・サービスは、日本での提供を開始する際に順次プレスリリースにてご案内いたします(※1)。

厳しい世界経済下で、イグスの2023年度売上高は11億3,600万ユーロとなり、昨年度比で1.65%微減したものの、10億ユーロの水準を維持しました。一方、有効顧客数(※2)は昨年度比で6.7%増やしています。
イグスはデジタル技術の開発を加速し、世界中のカタログ製品在庫を充実させるため、過去3年間で4億3,300万ユーロの投資(そのうち2億1,000万ユーロをケルン工場に投資)をしてまいりました。世界的にお客様がより短納期・低価格を求める状況のなか、グローバル在庫の戦略的倍増に向けた投資により、長いリードタイムを要するエンジニアリング・プロジェクトを含め、現在、世界全体の納期中央値は6日となっています。
2024年もイグスは同様のペースで投資を継続する見込みです。短納期に重点を置いた世界9拠点での施設拡張をはじめとし、247の可動樹脂製品およびデジタルサービスに投資を続け、お客様へ迅速に無潤滑化や低コストでの自動化、CO₂削減を叶える製品を提供してまいります。

※1 一部製品は日本市場で販売されない可能性がございます。予めご了承ください。
※2 有効顧客数:イグスよりコンタクトをとった企業・顧客数
以上

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Filename: [イグス] 247の新提案を含むハノーバーメッセでのイグス展示内容レポート0514.doc
Filename: [イグス] 247の新提案を含むハノーバーメッセでのイグス展示内容レポート0516.pdf

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