JAXA宇宙科学研究所の実験装置にイグス製品採用
9月 2, 2026
500kg規模の装置をμm単位で位置調整、宇宙研究を支援
イグス株式会社(本社:東京都墨田区、以下イグス)の製品が、宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所で「宇宙空間に近い環境」を地上につくり出す実験装置に採用されました。今回求められたのは、500kg規模の大型装置を髪の毛よりも細かなμm(ミクロン)単位で位置調整し、離れた制御室から操作すること。イグスのスライドテーブルやモーター、制御システムなどが、その実験環境を支えています。
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JAXA 宇宙科学研究所 地上プラズマ実験装置での使用事例

実験室に「宇宙」をつくる
JAXA宇宙科学研究所では、宇宙から届くX線を観測し、星の爆発やブラックホール周辺などで発生する高エネルギー現象の解明に取り組んでいます。しかし、観測データだけではその現象を十分に理解できないため、地上で宇宙空間に近い環境を再現する実験が行われています。
その実験に用いられているのが、地上プラズマ実験装置「電子ビームイオントラップ(Electron Beam Ion Trap:EBIT)」です。EBITでは電子ビームを用いてガスをイオン化し、宇宙と同様の高温プラズマ状態を生成します。さらに強力なX線を照射し、そこで発生する光を精密に測定することで、宇宙で観測されたX線の解釈に欠かせない基準データを取得しています。
500kgの装置をμm単位で位置合わせ
EBIT実験では、高温プラズマとX線ビームの位置合わせが重要な要素となります。装置内で生成されるプラズマのサイズは約100μmであり、そこへ数十μmのX線ビームを正確に照射する必要があります。そのため、500kg規模の装置を極めて高い精度で位置調整しなければなりません。
調整が必要なのは前後左右だけではなく、X・Y・Z方向の位置に加え、水平や傾き(チルト)を含む複数軸にわたります。研究の精度を左右する重要な工程であり、位置調整機構には高い剛性と滑らかな動作、そして安定した操作性が求められます。
高エネルギーX線実験に求められる遠隔操作
高エネルギーX線を使用する実験では、放射線防護の観点からビーム照射中に装置の近くで作業することができません。そのため研究者は制御室から装置を遠隔操作しながら位置調整を行う必要があります。
今回のシステムでは、レベリングブロックとスライドテーブルを組み合わせた5軸の調整機構で構成。位置と角度の両方を電動で精密制御しています。
導入の背景
今回の位置調整システムには次の要件がありました。
- 500kg規模の装置を支える高い剛性
- μm単位での高精度な位置調整
- 高エネルギーX線実験に対応する遠隔操作
- 研究用途に求められる柔軟な構成
- 限られた研究予算内での高いコストパフォーマンス
研究開発の現場では既製品をそのまま導入するのではなく、研究目的に合わせた独自の装置設計が必要になります。そのため部品には性能だけでなく、柔軟なシステム構築と費用対効果も求められます。
採用製品
1.スライドテーブル
研究装置の位置調整に使用。500kg規模の装置を支えながら、X線ビームとプラズマの位置を合わせる微調整機構として機能します。
使用箇所:装置位置調整用スライド部
役割:装置の位置調整、ビームラインとの位置合わせ

2. カップリング
モーターと既存の調整機構を接続し、装置の電動化を実現しています。
使用箇所:モーターと送りねじ機構の接続部
役割:駆動力の伝達、既存機構との接続

3. モーター
各軸の位置調整を電動化し、制御室からの遠隔操作に対応しています。
使用箇所:装置位置調整用の各軸
役割:手動調整の電動化、遠隔操作への対応

4. 制御システム
実験条件に合わせて位置調整を行い、実験中でも安全な遠隔操作を可能にしています。
使用箇所:装置位置調整用モーターの制御
役割:遠隔操作、5軸調整、実験時の微調整

今後の展望
電子ビーム、プラズマ、そしてX線。それらを正確に重ね合わせるための「動き」が研究の精度を左右します。イグスのモーションプラスチック製品は、最先端の宇宙科学研究を支える位置調整機構の一部として活用されています。今後もイグスは、研究・開発の現場で求められる高精度かつ高効率なモーションソリューションの提供を通じて、科学技術の発展に貢献してまいります。
イグス株式会社
〒130-0013 東京都墨田区錦糸1-2-1 アルカセントラル15階
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-イグスについて-
イグス(本社ドイツ)は、 潤滑不要の高性能ポリマー「モーションプラスチック」を開発・製造する企業です。あらゆる可動部品の技術革新とコスト削減を実現します。エナジーチェーン(ケーブル保護管)、高柔軟性ケーブル、すべり軸受・直動ガイド、そして摺動ポリマー製送りねじにおいて、当社は世界のマーケットをリードしています。独ケルンを本拠に世界38カ国に拠点を展開し、従業員は世界で約5,600人。2025年の売上高は11億5,500万ユーロ (約2,150億円) に達しました。業界最大級の試験研究所における研究開発は、絶え間ない革新とお客様へのさらなる安全性を生み出しています。24万5,000点の製品が在庫から即時出荷可能で、オンラインで耐用年数を計算することも可能です。近年では、ボールベアリング、ロボット駆動装置、3Dプリント製品、リーンロボティクス向けRBTXプラットフォーム、インダストリー4.0に対応する予知保全システム 「スマートプラスチック」など、社内スタートアップの創出による事業拡大を進めています。主要な環境投資としては、使用済みエナジーチェーンのリサイクルプログラム「chainge」や、プラスチック廃棄物を油化するケミカルリサイクル企業への出資を行っています。
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“CFCLEAN”, “dry-tech”, “e-chain”, “e-loop”, “e-skin”, “isense”, “smart cable chainflex” 及び “xiros”は、イグス株式会社の登録商標です。
